令和3年2月1日、岩手県教育委員会が公表した令和7年(2025年)までの後期計画最終案を発表。
少子化対策、将来の人材育成を見据えた計画と校舎の老朽化が原因で統合新設する高校などの情報をまとめました。
再編計画から統合が中止になった県立高校
前回2020年2月6日に岩手県教育委員会が公表した再編計画から統合を中止した高校はこちらになります。
千厩高校 産業技術科(工業科1学級40名)
前回の計画では千厩高校を存続しつつ、産業技術科のみが水沢工業高校、一関工業高校と3校での統合となる予定でした。しかし、千厩エリアからの長距離通学に対する懸念や地元の人材が育たないなどの要請もあり今まで通り、千厩高校内で存続することに決まりました。
宮古商工高校と宮古水産高校
岩手県内で唯一の水産高である宮古水産高校の存続を望む声を受け止め、統合はなくなりました。同じ敷地内に両校の校舎や施設を一体的に新設し、宮古商工と宮古水産の連帯を通じた専門教育を充実していく予定。
計画通り統合する県立高校(一部変更あり)
2020年の再編後期計画よりも明確になったことや変更になったこともあります。
各地域の6校が2校づつ統合し2024~2025年までに3校になる予定です。
☆前回との違いを確認したい方はこちらもどうぞ
一戸高校と福岡工業高校の統合について
福岡工業高校と一戸高校は2024年(令和6年)に統合される予定です。
【統合のポイント】
■各校の専門分野に関する特色のある学科を維持しつつ、二戸地域の専門教育の拠点となる学校の整備■生徒の男女比率の平均化(福岡工業⇒男子生徒が多い・一戸⇒女子生徒が多い)
■両校を閉校し、新たな高校を令和6年に設置
■福岡工業高校と一戸高校の既存の校舎を活用した校舎制にする
※校舎性についてはこちらを参照⇒校舎制(福岡工業高校と一戸高校の校舎を利用)
■一戸高校(3学級定員120名)、福岡工業高校(2学級定員80名)は統合後は4学級定員160名に変更
- 3学級(120名):総合学科(人文自然系/情報ビジネス系/生活文化系/介護福祉系)
- 1学級(40名):工業科(機械系/電気系)
【統合の課題】
■校舎制形式の選択
1,【基本的に一つの校舎(旧一戸高校)で学び、工業の実習等の際(旧福岡工業)に生徒が移動する形式】の場合
<メリット>
- 所属する学科、系列を越えて学習する機会をつくりやすい
- 基本一つの校舎(一戸高校の校舎)で学ぶので一体感がある
<デメリット>
- 工業系の実習に福岡工業の校舎を使用するため、片道6キロの道を往復。移動時間は10~15分程度(往復20~30分)。その移動時間とカリキュラムとのバランス。
- 新築したばかりの福岡工業高校の校舎は工業実習のみに使用される。
2,【基本的に別々の校舎で学び、部活動や学校行事の際に生徒が移動する形式】の場合
<メリット>
- 工業科は福岡工業、総合学科は一戸高校で学ぶために移動がない
- 福岡工業の新校舎を有効活用できる
<デメリット>
- 所属する学科、系列を越えて学習する機会をつくりにくい
- 生徒の交流が部活など限定的になりひとつの学校に統合したという意識がうすくなる
- 工業科と総合学科が別校舎になるため、生徒の男女比率の平均化と生徒同士の一体感は統合したことで増加した生徒の数値でしか感じられない可能性がある
【1と2の共通課題】
- 授業によって、教員、生徒の校舎間の移動時間が必要
- 部活動や行事等の際、生徒と教員の移動時間が必要(天候、部員数や部活内容、活動時間によって移動手段が異なる場合の対応手段)
- 受験生が校舎制に魅力を感じるのかが不明。地域や学校が校舎制の魅力や良さを実感できる環境づくりが必要
- 新築したばかりの福岡工業のより良い有効活用(特に1が採択された場合)
盛岡南高校と不来方高校の統合について
不来方高校と盛岡南高校は2025年(令和7年)に統合される予定です。
【統合のポイント】
■体育系の盛岡南高校と同じく体育、芸術、外国語など特色のある不来方高校の2校の統合による盛岡地区に大規模校を設置。
■統合により両校は廃校し、新たな学校名でスタート。
■校舎は現在の不来方高校が使われ、盛岡南高校跡地は盛岡工業高校の新校舎になることが決定
■学科は普通科・体育科を予定。学系は人文・理数・芸術・外国語・体育を予定している
■現在、盛岡南高校(6学級定員240名)、不来方高校(7学級280名)は令和5年度の高校受験から各校ともに募集定員を1学級40名づつ減らし統合に向けた調整に入る
■2025年令和7年の統合開校時の募集定員は8学級320名の予定。岩手県立高校で一番多い募集定員となる
【統合の課題】
■生徒数も拡大し近隣には岩手医大、岩手医大付属病院などもあるので通学時混雑が予想される
■新たな場所に学校を移設新設するわけではないので不来方高校の名称変更をせずに継承の選択はないのでしょうか?誰のために新たな校名、校歌、校訓、制服、校章に時間とお金をかけるのか。これから受験するこどものためなら学校のカリキュラムや設備の充実化にその予算を優先するほうが得策では。
水沢工業高校と一関工業高校の統合について
2025年(令和7年)水沢工業高校と一関工業高校が統合される予定です。
【統合のポイント】
■地域産業、業界の幅広いニーズに対応するべく優秀な人材を育成する環境を整える
■水沢工業の校舎が築52年、一関工業の校舎が築39年と校舎、設備の老朽化か新たな場所へ新校舎建設予定
■統合により両校は廃校し、新たな学校名となる
■盛岡工業高校、黒沢尻工業高校と並ぶ、工業教育の根幹校を目指す
■高校のモデルは秋田県立能代科学技術高等学校
■IT、AI、loTなど技術革新に対応した学科創設も視野に
■6学科(6学級)定員240名。学科は機械科・電子電気科・設備システム科・インテリア科・土木科・AI関連学科の予定
■学校の建設予定地はまだ未定
【統合の課題】
■建設予定地がまだ未定。そうなると地域の方々、OBOGなどの関係者に納得してもらえるようなきれいな土地(別の意味)を選定できるのかも今後の課題のように思います。
交通の便、送迎する家族のことも考えると候補地は駅周辺の徒歩圏内で通えるところが理想。そして候補地の範囲は水沢から一ノ関の間。
一ノ関と水沢の間の駅は山ノ目、平泉、前沢、陸中折居駅が。中間地点を選ぶなら平泉か前沢か。平泉町には高校が無いことから候補地としてはありかと思いますが、世界遺産登録されているため建物の色やデザインなどに制限がかかるのと、そういう理由から根本的に建設不可の可能性も。
いろんな事情からすると前沢が本命ではないでしょうか。(山ノ目駅や折居駅もあるかもしれませんが。)
もし田んぼを埋め立てたところに建てるなら、もう埋め立て工事だけはやってほしいです。着工間際では完成後にも余計な補修工事が増えるので。
統合するか否か今後決められる高校
前期計画で一度方針が示されたものの、入学者数が増えていることなどを理由に18年5月に見送りされましたが、将来的に統合するということで検討されているため20年度の入試状況次第で今後どうなるかが決まる予定です。
2020年(令和3年度)入学者数
●久慈東高校
定員200名に対し入学者数【146名】
●久慈工業高校
定員80名に対し入学者数【23名】
この結果をから見れば、久慈東高校側は統合はまだ先の話にしたいのではないでしょうか。しかし、久慈工業高校側から見ればやむ無しというところですかね。
校舎と住所が変わる高校
2025年(令和7年)に盛岡工業高校は盛岡南高校跡地に移転予定。
これより最寄りの飯岡駅がより近くになり通学の負担が軽減されます。
盛岡工業高校周辺の冬道はアイスバーンにもなりやすく、移転後は送迎する家族の負担も軽減されると予想されます。
今後は設備も充実し技術革新の授業も取り入れを検討するそうです。
統合する岩手県の高校まとめ
2024年、2025年度にかけて6校が統合します。
しかし、2025年度以降も統合は継続的に行なわれて行くと予想されます。
今回の結果から久慈工業高校と久慈東高校は今後どうなるのでしょうか。
少子化が叫ばれていることに加え、コロナウィルスの影響もあってか自宅で学べる通信制高校に通う人も増えております。事実、友人のお子さんは不登校でもないのに通信制高校を選択。学校が楽しいと話してくれました。また私立高校の無償化により公立高校は受けずに最初から私立だけを選択する人も増えてきてます。
学ぶ内容、学び方、学ぶ場所、学業とやりたいことの両立など選択肢が増えれば増えるほど、既存のままでの公立高校の存続は難しくなるのかもしれません。