高等学校卒業程度認定試験について
高等学校卒業程度認定試験(旧大学入学資格検定)について簡単に説明すると以下のようになります。
元々は「大学入学資格検定」(大検)と呼ばれていましたが、平成17年度から「高等学校卒業程度認定試験」となりました。
この認定試験に合格することで大学、短大、専門学校を受験する資格があることに加え、就職や資格試験などに活用できます。
大検からの高認への変更点
高卒認定試験と高卒資格の違い
【高卒認定試験】
正式名称:高等学校卒業程度認定試験
●試験に適している人
高校中退、中学卒業してすぐ社会人になったなどの理由で高校を卒業していないものの「高校行きたくないけど卒業同等の認定は欲しい」という人に適しています。
●最終学歴
認定試験合格後に進学しても中退すれば「中学卒業」が最終学歴となります。但しこの場合は履歴書の学歴欄に「高等学校卒業程度認定試験合格」の記載が認められています。
●高卒を最終学歴にしたい場合
高認を合格しただけでは高卒を最終学歴にすることはできないので、この場合は通信制高校や定時制高校を卒業する必要があります。
●合格後の効力
合格後にその効力が生じるのは18歳以上になってからなので、16歳以上から試験は受けられますが合格したタイミングが18歳未満だった場合は要注意です。
●取得までの期間
勉強の仕方などにもよりますが、自分でカリキュラムを組んでマイペースで学べるので、うまくいけば早ければ数ヵ月で高卒認定を取得できます。
●試験実施状況
最終学歴で多い順は、高校中退→全日制高校在学→中学卒あるいは定時制・通信制高校在学となります。
年齢で多い順は、16~18歳、19~20歳、21~25歳、26~30歳…となっています。
1科目以上合格するのは約8割くらいとされているほど科目合格はしやすいといえます。
- 中卒後に受けたいと思った国家試験の受験資格が高卒だった
- 高校になじめない・授業についていけないなどで中退したから
- 高校で3年間を過ごすよりも早く進学したいから
- 何らかの理由で不登校になり学校通いはできないから
- 最終学歴が中卒なので就職活動に響くから
- 大学生や社会人を目指したくても条件が合わなかったから
- 海外の高校は卒業しているが日本で大学受験を受ける資格がないから
【高卒資格】
正式名称:高等学校卒業資格
●卒業資格
全日制、定時制、通信制の高校を卒業することで高卒資格が与えられます。
●卒業条件
在籍:3年以上、その間に74単位以上取得、30時間以上の特別活動(生徒会活動や体育祭など)の参加が条件となっています。
これらを踏まえて高卒認定と高卒資格の違いは、
- 実際に高校を卒業する…高卒資格
- 高卒と同等であると認められる…高卒認定
このようになります。
高卒資格は学校を卒業する必要があるので取得までに最低3年はかかりますが、高認であれば学習ペース次第では数ヵ月で取得可能となります。
極端な例だと、最短で中学を卒業した同じ年の16歳に認定試験を受けて合格すれば、実際に高校を卒業するよりも早く高卒と同等の資格を得ることができるわけです。
なのでいずれを選択するにしても家庭の事情や現在の状況などを考慮し、且つ将来何をしたいのかを考えて自分に合った方を選択しましょう。
高等学校卒業程度認定試験の受験に関すること
高等学校卒業程度認定試験の受験資格を有するのは次の人です。
【受験資格者】
●受験予定日の年度の終わりまでに満16歳以上の人
※例えば2019年に試験を受けるのであれば2020年3月31日までに満16歳以上であればOK
●全日制高等学校に在籍中の人
※平成17年度からOKとなった
●外国籍でもOK
●大学入学資格を持っていない人
※高校を卒業していない、大検・高認などに合格していない人のこと
【受験日程】
●試験回数:1年に2回
●試験日:一回目8月上旬、二回目11月中旬 ※年によって日付は異なる
・試験は年に2回あるので受験科目を分けてもOK
・全科目のうち一度でも合格した科目は「科目合格」扱いとなり次の試験で受ける必要なし
ちなみに2019年度は8月6日・7日と11月9日・10日が試験日となります。
【必須科目】
高認の試験の必須科目は以下8科目です。
- 国語、数学、英語の各1科目=計3科目
- 世界史A、世界史Bいずれか1科目
- 日本史A、日本史B、地理A、地理Bいずれか1科目
- 現代社会、「政治・経済と倫理セット」いずれか1科目
- 人間生活の1科目
- 化学基礎、物理基礎、地学基礎、生物基礎いずれか1科目
※最後の○○基礎は2科目選択可能でこの場合計9科目となる
願書の入手から提出に関する必要書類や確認など
入手方法
住んでいる地域の教育委員会に手入手可能
携帯電話・固定電話・インターネットで請求しても入手可能
文部科学省ホームページ http://www.mext.go.jp/ にて詳細を確認
記入方法
受験案内に従って記入するとともに必要書類の確認も忘れずに。住民票(必要に応じ)、免除科目(科目合格)の有無で有る場合は証明書の手配をする。必用書類がすべてそろったら文部科学省へ郵送しますが、証明書は厳封による提出が必須になるので手配して手元に届いても開封してはいけません。
提出
「出願書類確認簿」で必要書類を確認し、受験科目数分の収入印紙、2枚の写真など必要なものはすべて同封し簡易書留にて郵送する際に「書留郵便物等受領証」を受け取って保管しなければいけないので、絶対にポストへ投函せず窓口で手続きしてください。
結果の通知
合格した科目があれば「科目合格通知書」が届き、どれも合格できなかったら受験結果の通知だけが届くことになります。一度でも合格した科目は一生有効となり、有効期限を気にする必要はありません。
もし免除科目がある場合以下を確認すること 免除科目
2年生以上、高校で進級したか否か
2年生以上、高等専門学校で進級したか否か
知識及び技能に関する審査(技能審査)に合格したことがあるか否か
高卒認定試験、大検で一部科目に合格したことがあるか否か
※もし高校2年生以上の進級がある場合、1年以上在籍していた学校で単位取得できている可能性があるので要確認
※技能審査を合格している場合、免除項目と検定の級を確認すること
単位取得の確認方法
1.通っていた学校で単位修得証明書の様式に必要項目を記入してもらい、この証明書を2通もらってください。1通は高認出願用、1通は内容確認用です。
2.高認の受験案内にて証明書を確認し記載内容と習得単位数を照らし合わせ確認しましょう。
3.単位数が免除の条件を満たしていた場合、免除項目があることを願書へ記入し、単位習得証明書とともに出願しましょう。
合格ライン
各科目で40点程度となっています。
高得点での合格
推薦入試やAO入試を検討している人は高得点での合格を目指すべきです。
「80~100点=A、高校の評定で5」
「60~79点=B、高校の評定で4」
「合格最低~59点=C、高校の評定で3」
このように大学では考えられていると想定されます。(実際に大学側が公表しているものではありません)
そのため入試で評定平均値によって合格の点数も意識するべきと言えます。
高認試験のレベルと試験内容
落とすための試験ではなく合格させるための試験と言っていいレベルで高校1,2年生の内容で、択一式のマークシート方式、科目別の合否判定により一度にすべて合格する必要はなく2回に分けて合格を目指してもいいです。
特例措置
身体上に障害があることを申請すると特例措置が取られる場合があります。
例えば
- マークシートがチェック、点字、文字で回答可能
- 別室で受験できる
- 試験時間を延長してもらえる
- 杖を持っての会場入り可能
- 同伴者や乗用車による入構可能など
高認合格後の進学・資格試験など
高卒認定試験を合格した後に目指せる進学先は以下になります。
●大学
- 社会科学系…政治や経済、国際など
- 人文科学系…教育、文学や哲学、芸術など
- 理・工・農学系…自然の法則、産業に役立つスキルなど
- 医科・歯科・薬学・家政系…看護師、薬剤師、医師、食物など
●短期大学
仕事で直接必要とされる内容を学べる学校
●専門学校
仕事で直接必要とされる専門技能、資格、免許を取得できる学校
●海外の大学
高認に合格すれば国内だけでなく海外の大学受験資格も取得することになるので、海外の大学進学も目指すことができます。
高卒認定試験を合格後に目指せる資格試験は以下になります。
学歴問わずな受験資格も数多くありますが、その資格を取得するために専門学校への進学が必須となる場合があり、この時に高認合格が役立ちます。
●学歴などの受験資格別の資格の例
受験資格=有
税理士、社会保険労務士、医師、薬剤師、歯科医師、歯科衛生士、介護福祉士、社会福祉士、保育士など
行政書士、司法書士、弁理士、公認会計士、危険物取扱者(一部)、測量士、国連英検、ファイナンシャルプランナー、基本情報技術者試験など
まとめ
高卒認定試験を合格すると進学、資格取得、就職などで有利になるため、「高校に通うのは今さらイヤだけど高卒同等の認定が欲しい」と言う人に人気があります。
中でも高得点で合格すると推薦入試やAO入試で有利になるとされているため、これらの受験を検討しているのであれば、是非高得点での合格を目指してもらいたいものです。